僕はコンビ即ができない。
そもそもあんまり人とコンビをしないし、やっても片方だけ即みたいなことばかり。
仲のいい付き合いのそれなりに長い人でも1回もコンビしたことないなんてことがザラだ。
だから「乱」も「くるくる」もしたことがない。
ナンパを始めて3年以上が経った。
意外と最初の頃に知り合った人たちがまだまだ活動していることに驚かされる。
界隈から消えていった人たちが残していったもう動かないTwitterアカウントも、なんとなくフォローが外せないままいる。
別にまた界隈に帰ってくることを期待してるわけでもないのに。
ナンパを卒業していったかつての仲間とは正直あまり連絡をとっていない。
連絡先は知ってるんだけどナンパっていう共通言語がなくなってしまうと自然と疎遠になる。
少し寂しい気もするけど、正直「まあそんなもんだよね」って思ってる。
そんな中でも連絡を取り続けている数少ない元ナンパ仲間がいる。
2年前に上京する以前、地元でナンパを始めたての頃週に3日も4日も一緒にストリートに出て、いつも同じラーメン屋で坊主飯や勝利飯を食べた。そんな彼。
まあ大概は坊主飯だったけど。
地元に帰省するたびに彼にはLINEをする。
「一緒にナンパしよう」だったり「ご飯食べ行こう」だったり。
お互い2年前よりちょっとだけ大人になったぶん社会的なしがらみが増えてなかなかスケジュールが合わなくなった。
仕事だったり彼女だったり。
そんなこんなしてるうちに1年近くの時間がたった。
連休で帰省した際にそんな彼と久しぶりに会った。
久しぶりだけど久しぶりな感じがあまりしない。
いつも通り待ち合わせに遅刻してきて、はにかみながらそれを謝罪する彼。
出逢った頃となにも変わらない。
「今日こそはコンビ即をしよう」
3年間顔合わせる度に言い続けた。
そして今日も僕らはこの挨拶をする。
形式的な挨拶かもしれないけど、いつも本気で達成したいと思いながら。
この日は遠征者が地元に来ていた。
いっぱい飲んでいっぱい笑かしてもらって。
でもやっぱり「彼」とコンビを組んでストリートに出たくて。
みんながまだわちゃわちゃしている中2人だけナンパを始める。
コンビしたりソロで声掛けしたり。
スタイルの良い子とちょいぽちゃの子の2人組を連れ出す。
スタイル良子の手を引きながら地元でよく使っていたバーに向かう。
道中、「2年たってるし閉店してたりしないよね?」と内心焦りながら。
バーは2年前と変わらずそこにあった。
男女隣り合い4人がけテーブル席で和む。
和みの最中だんだんとスタイル良子の食い付きが僕から彼に移っていくのがわかる。
僕らのコンビでは割とよくあることで、今までならこの時点で諦めていた。
でも今日は違う。
担当チェンジしたい旨をLINEし、2軒目のカラオケ打診。
打診が通り席を立つときサラッと担当チェンジのためにスタイル良子の隣に立つ彼は流石。
カラオケに移動して2対2の採点勝負。
EXILEの「someday」を歌い上げる彼。
上手くて聴き惚れる女の子たち。
「まだこっちの食い付きをもってくつもりかよ笑笑」なんて内心ちょっと焦ったり。
余談だけど、昔のEXILEの曲がこんなにうけることが地元の田舎味というか、都内とは違う安心感を感じさせてくれる。
彼とスタイル良子がトイレに行っているうちにちょいぽちゃ子にキスが通ったので今日の勝ちを確信する。
カラオケを退店してそれぞれ「家まで送っていくよ」でセパレート。
形式グダを流してホテルインして即。
遅れること数分で彼からも即報が届く。
長かった。
出会ってから3年。
何十回もコンビして。
やっと掴んだコンビ即。
またナンパに最高の思い出が1つ増えた。
翌朝、彼にLINEを送る。
エイジ「そっちの案件の方がかわいくて羨ましかった」
彼「え?キンタロー。に似てなかった?」
エイジ「wwwwww」
fin.